鯉幟ファッション A carp streamer
五月の空に悠々と泳ぐ鯉幟。最近では都会、郊外でもすっかりと見られなくなった日本の原風景。
日本人ならどんな小さな子どもでも鯉幟は知っています。
鯉のぼりは、江戸中期から、男子の健やかな成長、
鯉は龍門伝説から立身出世の象徴とされ端午の節句に揚げられるようになりました。
武家は幟旗。民衆は鯉幟。明治以降は身分制度がなくなり両方揚げる地域もあります。
歌川広重の「江戸名所百景」の大きな大胆な真鯉幟は有名です。
江戸の鯉幟は和紙でした。始めは黒の真鯉だけでしたが、子どもが生まれる度に
小さな鯉幟も一緒に揚げられるようになりました。大正時代からは木綿に変わり、
昭和30年代からは、ナイロン製に変わっていきました。
鯉幟の木綿で作られていた時代は意外にも短いのです。
私はこの鯉幟に理屈もなく魅せられ、30年亘りファッションとして服を作って参りました。
この度、ある地方の名家から素晴らしい手描きの木綿緋鯉幟が私の元に来たのです。
今後、2度とこれほどの手描きの鯉幟を手にすることは不可能。
服にしてしまうと1枚しかできません。しかも、洗うと色落ちもしてしまうことがあります。
この日本の原風景ともいえる鯉幟をファッションとして多くの人たちに楽しんで貰うことが出来ないか。
人間というのは不思議な縁を持っていて「念ずれば通ず」で、
偶然に捺染工場の職人さんに出会うことが出来たのです。
この度、奇跡的に忠実に「手捺染」の技法により本物以上の本物の鯉幟を再現することが出来ました。
「古布より古布らしいけれど、古布じゃない」
そんな楽しい鯉幟ファッションのプロジェクトがスタートいたしました。
伝統的な手捺染の技法で一枚一枚染めていく。
色も黒、赤、紺。どんな色にも染めることができます。
更にカットソーにプリントすると、幅広いデザインが可能です。
パワー溢れる鯉幟ファッションで、日本の街、世界の街を元気いっぱい闊歩して、楽しんでみませんか。
アトリエ和 杉浦和子
■ 捺染工場で鯉幟が再現出来る工程
①.型を作ります。今回は9色なので、9枚の型を作りました。
②.古い鯉幟を見本にして色を再現すべく糊と染料を調合します。この色加減が仕上がりを左右します。
③.25メートルの布に型を当て、色糊を乗せてすります。
ここが熟練した職人さんの腕です。
全て手仕事。
全て手仕事。
④.色は9色刷りなので、色糊を入れてするのも9回です。打ち合わせの段階で本物以上の本物ということで
何度も打ち合わせをして、色にこだわってきました。
⑤.黒も出来ました。
※意匠登録出願中※