この、野良着は秋田で手に入れたもの。そんな遠い昔でなく昭和35年位までは、日本中、このような木綿の野良着であった。日本は、このころから化学製品の勢いに拍車がかかり、木綿の野良着、重い綿の入った布団は嫌われ、廃品回収に出され、捨てられていった。便利さと引き換えに、衣食住すべてが中途半端に欧米化されていった。先人たちの手仕事を卑下し、評価しなくなっていった。襤褸の中に美学や文化などないと思っている人に、私は先人たちの遺品に代わって語りたい。この誇らしい野良着を見てください。野良着とは袈裟衣と荷と人間が一体になった美しさを持っているのです。
2012年9月5日(水)