今日は、朝から雪。
どこにも出られないので、「私の夢」を書いてみます。
私はこの仕事をして30年になります。
始めたころは絹の着物から、作っていました。大島紬、錦紗、留袖等々。
随分作りました。絹物の悩みは着ていると擦れて、薄くなり、破けたりして、クレームが
非常に多いことでした。そして、継ぎ当てて補修が出来ない。
絹物は寿命が80年と言われている。それは、絹はお蚕のたんぱく質からできている為である。
木綿、麻は300年の力(りき)があると言われている。
そのうちに力のある木綿の魅力にぐんぐん引き込まれていきました。
筒描きの布団、風呂敷、油単、暖簾。絣。刺し子の野良着。布団。襤褸の野良着
全国のセリ場に行っては、大きな声を張り上げて、木綿ばかり、セリ落とし、
「ぼろの女王」と異名を付けられていました。
家中が、全部、木綿の布で埋もれる状態。
11年前には、マリア書房から、自費ではなく「襤褸に生きる」を出版させてもらいました。
この本を出版したおかげで、埋もれ、光の当たらなかった、襤褸の価値が評価してもらえる
ようになりました。
今では、世界のブランドが、襤褸をコピーしプリントして、ブルゾン、ジャケット等のモードで
売りだしています。ブランド名だけで、凄いプライスが付けられています。
何と言っても、この仕事をして得られた大きな財産は、
日本中の古布好きのお客さまと出会えたことだと思います。
特に良質の人との出会い。
これは自分の人生をも変えます。
第一級のコレクター北村勝史氏との出会いは、
私の古布人生に大きな励みとなりました。
北村氏は76歳。3年前にオランダロッテルダムのワールド美術で6か月間の会期で
海外での「江戸の幟旗」の展示会を開催した。
氏の大きな夢であった。20年でライフワークとして海外美術館での計画は16年で、人生の目標が達成した。
では、私の夢は?
それは、海外で展示会を開催することではない。
夢は次世代に日本人が残した日本の宝を最先端のファッションとして
認めて、着てもらうことです。
正直言いまして、今までの古布を愛して着て下った方の高齢化は否めません。
先人たちの、偉業でもある、この古布を伝えていくためにも
次世代に着て貰い、古布を啓蒙していくことも大切だと思うようになりました。
そのためには、元気でいなければいけません。
次世代に伝える。
大きな目標、夢となりました。