これは、熊本の奉納旗。昭和6年と描かれていました。
黒地に白抜きは熊本の奉納旗です。九曜の紋。
幟旗収集家で知られる北村勝史氏の著によると
「明治39年までは神社の奉納は過酷な生活環境の下、日々の生命の安泰を願う、
江戸民衆の「祈り」の拠り所であった。
その奉納旗を切り刻み、たとえ民衆の衣服に再生させられたとしても、罰があたる。
明治39年以降の幟旗は「生命の安泰を願う祈り」から
「金儲けの祈り」に祈る対象を変えてしまった。
従って、絵幟の絵柄の定型化し、金のご利益のあるように華美な化学染料に
よる彩色、省力化のための型染の世界に急速に変化した。
明治40年以降の幟には生命の安泰の祈りはないので、使用されなくなった
幟旗はリフォームの材料に供されて、新しいコートなどに再生されても良いと思う。」
この北村氏の言葉、
明治39年前の民衆の願い、魂のこもった奉納旗は
鋏を入れてはいけないということです。
私たち、古布をリフォームする人たちは肝に銘じなければ
いけないと思います。
2015年1月12日(月)