武田信玄と上杉謙信の川中島筒描。とても、糸味も良く、染色も見事な祝節句旗であった。長いこと考えた挙句に、はさみを入れてフードコートにした。このような素晴らしい祝節句旗を手にしたとき、収集としてそのまま保存しておくべきか、デザインするべきか、いつも、悩まされる。有形文化財ともいえる布に鋏を入れる、自分のしていることが、罪なことではないかと悩んでいた。ある日、祝節句旗の収集家で有名な北村勝史氏に「私のしていることは無知で罪な事ではないでしょうか?」と問うたことがある。すると、北村氏は「いいじゃありませんか。あなたは杉浦ワールドを作り上げたではありませんか」。この、北村氏の一言ポン!と背中を押されたような気がした。
2012年9月13日(木)