今日の東京新聞より
東京行きの日本航空最終便は、定刻になったのに搭乗が始まらない。
休日夜の中部国際空港ロビー。出発遅れのアナウンスが流れると、ため息が漏れた。
制服姿の男性2人が、ベンチに座る50人ほどの客を一人ずつ回り始めた。
床に膝をつき、穏やかに話しかける。
「羽田空港に雷雲があって、管制塔から出発を見合わせるよう指示されました。
到着は最悪で午後11時を過ぎます。乗継は大丈夫ですか」
この便の機長米田英治さん(50)と副操縦士塩本耕三さん(34)だった。
遅れが出る場合は機長が説明しなければならないという決まりは航空会社には無い。
ただ、二人は考えた。もし、自分が乗客だったら。
責任者が直接説明したほうが、理解してもらえるんじゃないか。
「前も遅れたぞ」と怒っていた男性客は,説明を聞いて収まった。
「初めて飛行機に乗るんだ」とはしゃいでいた後、泣きそうになっていた男の子は
お絵かきしながら出発を待った。
本当は話すのが苦手で、、、、、」と米田さんは明かした。「信頼の翼」。そんな昔の
キャッチコピーを、久しぶりに思い出させた。
2014年8月25日(月)